「山のバルナボ」
「タタール人の砂漠」で知られるディーノ・ブッツァーティーの最初の作品。
サン・ニコラ地方の森林警備隊員たちは、遠くの谷からやってくる盗賊たちから火薬庫と街道を守っている。平穏な毎日は、警備隊長のデル・コッレが襲われたことで終わりを告げる。若い警備隊員バルナボは、いざ盗賊を前にしたときに臆病風に吹かれてしまい、隠れてしまう。
恥に苛まれるバルナボが再び山に向かい合うまでの日々、山の生活の静かさと冷酷さが、淡々とした筆致で描かれている。
作中の地域
舞台はイタリア、ドロミーティ・アルプスの山がモデルになっている。作中で「サン・ニコラの三ッ峰」として言及されているのは「トレ・チーメ・ディ・ラヴァレード」と呼ばれる山だろうと想像できる。
(写真は Daniele Bonaldo CC BY-SA 4.0 https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0, via Wikimedia Commons)
他にも「ドロミテ」で画像検索すると、作中で言及されている崩れやすい石灰の白い岩肌や、並置からいきなりそそり立つ姿がまったく誇張ではないのがわかる。
