Project Ukko、風力発電にむいている土地かをひと目で理解できるデータの可視化
私も研究で扱っていますが、風というものは、その風向であれ、風速であれ、とても予測がし難く捉えにくいものです。
しかし風力発電などといった技術で長期的な風のエネルギーの利用を考えている場合、この捉えがたい情報をある程度扱いやすくする必要があります。完璧な予報は無理だとしても、どのくらいの風速が、どの程度の期間期待でき、今度どのようなトレンドをもって推移するのかという予想を、ピンポイントで立てる必要があるのです。
Wiredの記事経由で知ったProject Ukkoは、Met Officeのデータを総合して、デザイナーがひと目でわかりやすい図に落とし込んだ、気象情報の芸術になっています。こうしたものをなるべく作ってみたいものですね。
Poject Ukkoの図は、それぞれの地点において過去数十年のデータから導かれた風の情報が示されています。しかしそれは風向と風速という物理現象よりも、統計的な頻度に焼き直されているのです。
たとえば帯の太さが平均した風の強さ、薄さが予報のもっともらしさで、強くてもばらつきが多いのなら印象が薄い帯になっています。また、傾きによって長期の傾向が強まっているのか、弱まっているのかがわかります。
風力発電はどこでもいいので風の強い場所に風車を立てればよいように思われますが、実際はある面積に対して立てることのできる風車の数、その地点での風の持続性と強さの掛け算で採算がとれるかが決まっています。
これが日本の表示になりますが、どこも予測は立てにくく、トレンドはないのがわかります。風力発電に必要な、「いつも定常的に吹いている」という条件はなかなか満たしにくいのですね。グリッドには実際の風力発電の導入地点もプロットされており、その場所での今後の収量の変化を見ることもできます。
風のトレンドは日本と似たりよったりでも、平地などの風力発電を導入しやすい土地の違いなどから、欧州ではこれだけの量が導入されているという違いもあります。日本でも今後増やそうという計画はあるようですが、どれだけ実際的なのか、立てただけ無駄ということにならないのかは入念に見たほうがよさそうです。
一方で、Project Ukko で見ていると最も収量を期待できるのはやはり洋上なので、そうした場所での風力発電がやはり今後注目されてゆくのかもしれません。
デザインと、それが示す情報量の、面白い試みだと思いましたので、日本の局地風についてもこうした図表を作ってみることができればと思います。