[英語メモ] POTUS:大統領の略号の、意外に古いルーツ
今年はアメリカ大統領選挙ということもあって、個人的にはニュースを追うのが楽しくてたまりません。もちろん世界一の大国であるアメリカの大統領を選ぶのだから真剣な話なのですが、その流れはエンターテイメント性が高いからです。
ところで、アメリカ大統領のことをニュースや、ツイッターのつぶやきの中などで POTUS と略すことがよくあります。“President Of The United States” の頭文字をとって、発音は「ポートゥス」という具合にひょうきんな感じで読みます。
The gun lobby may be holding Congress hostage, but they can’t hold America hostage. We can’t accept this carnage in our communities.
— President Obama (@POTUS) 2016, 1月 4
実際、オバマ大統領のツイッターアカウントは @POTUS となっており、これはホワイトハウスのアカウントなので次の大統領にも引き継がれる予定です。
この略号、子供の頃アメリカにいたときにはあまり見なかったような気がしたので、てっきり最近生まれた略称なのかと思っていたら、実は思ったよりも古かったのでした。
電信時代にルーツをもつ POT の略称
POTUS の POT の部分はモールス信号でニュースが伝えられていた電信時代にルーツをもっています。当時 AP ワシントン支局の主任を務めていた Walter P Phillips 氏が発明したと伝えられており、1879 年に発行された “The Phillips Telegraphic Code” にはその記載が認められ、Google Books で確認できます。
この POT はもちろん電信の量を減らして正確さを保証するために使われた符号でしたが、すぐに法的文書などでも利用されるようになります。そして数十年のうちに POTUS の利用もほぼ固まっていたようです。最も古い POTUS の利用は 1895 年にこうした符号を解説した文書に遡れます。
In addition the more frequent phrases are skeletonized to the limit of safety. “Scotus” is “supreme court of the United States;” “potus,” “president of the United States.” The Birmingham Age-Herald (Alabama), 14 Apr. 1895.
というわけで、最近どころか前世紀から利用されていた POTUS という略号なのですが、どうやら近年になってよくきくようになったのは The West Wing などといったテレビドラマや、ニュース番組のテロップなどが原因のようです。画面上で「大統領が〜をした」という具合にテロップを表示する際、“President of the” はたしかに長いのですね。
同じくらいに歴史の古い略号としては SCOTUS “Supreme Court of the United States” すなわち合衆国最高裁判所があります。
逆に、アメリカ大統領夫人をあらわす FLOTUS “First Lady of the United States” は用法として新しく、POTUS が利用されることによって新たに生まれた言葉のようです。
アメリカ大統領選は予備選挙が来月から本格化します。このサイトではそれにあわせて一年間の戦いを追うシリーズを始める予定ですので、そちらもご期待ください。