伊勢志摩サミット「世界に届けたい日本」フォトコンテストの簡素な難しさ

2016 年 01 月 19 日

今年開催されるサミットにあわせて、内閣官房・内閣府が主催する伊勢志摩サミット「世界に届けたい日本」フォトコンテストが現在作品を募集中です。

こちらのフォトコンテストには、ネイチャー部門・カルチャー部門・ライフ部門という多少敷居の高いコンテストと、スマホ部門というタップひとつで応募できる、大きく分けて二つの門戸が開かれています。

スマホ部門の審査員が知り合いのブログネタフルのコグレマサトさん(@kogure)、まつゆう*さん(@matsuyou)ということもあって興味をもったのですが、これは簡単に応募できて難しい、だからこそ逆説的に気軽に参加してほしい内容だなと思いました。

世界に伝えたい日本、とはなにか

コンテストのベースとなっているのは、「世界に伝えたい日本」というコンセプトです。「風景、暮らし、文化など、世界に発信したい日本の魅力を写真に撮ってお送りください」とだけあるのですが、これが面白くも難しいオーダーです。

すでに投稿作品がランダム表示されているのですが、それはこんな様子です。

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一方で、世界が「Japan photo」で多少はステレオタイプ的にイメージしているのは、Google 画像検索のトップページだとこのようになります。

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もちろん、もっと検索ページをめくってゆくとさまざまなイメージが登場するのですが、「世界からみた日本」と「日本人が日本だと思うもの」の差は興味がつきません。

私たちが知っているもの。世界が知らないもの。私たちが伝えたいもの。世界がこうだと信じているもの。この交点に文化的な誤解と行き違いと耕すことのできる対話の可能性はあるのです。

すると、「世界に伝えたい日本」というのはシンプルで、難しくて、やはりシンプルに考えるのでよいテーマになります。

フォトアルバムをひっくり返して、探してみよう

スマホ部門の応募要項では、スマートフォンで撮影したものであれば、アプリによる加工もOK、撮影時期は指定がありません。つまり、これからスマートフォンをもって撮影にいかなくても、フォトアルバムをひっくりかえして「世界に伝えたい日本」が偶然写っている写真を探すのでいいのです。

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それでは、日本の自然をとらえた写真を送りましょうか。たとえばこの南大東島の岸壁に打ち付けて砕ける波のような。でも、これ、いわれなくては日本だとわかりませんよね。いや、我々にはなぜかこれが日本のなかで撮影された雰囲気がわかります。でも、世界にそれが伝わるかなあ。

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わかりやすい日本の伝統のものを撮影して送るのでもよいでしょう。見ただけでこれは日本だとわかりますよね。

しかし、すでにこうした伝統的な文化財は私たちにとっても日常の一部分ではなく、外国人と同じくらい異界のものとなっているともいえます。寺や仏像が珍しいと思うその心の動き、外国からやってきた観光客とどこまで違うといえるでしょう。

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日本ではありふれているけれども、それがなにげなく日本らしさにつながっているものを選ぶのもいいでしょう。たとえばジャングルジムとか、意外に海外ではみかけないのです。最近の日本の公園でもみかけないかもしれませんが。

そういわれれば、道路信号の形から普通の家の玄関に至るまで、なにげない日本らしさはあふれています。テーマをきりとるのは難しいかもしれませんが、そうしたものを選んでもいいですね。

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選ばれるのは1枚ではないのですから、あっと目を引く写真を混ぜてもよいですし、インパクトのあるグルメ写真もいいかもしれませんね。なにげにこの写真など、海外の人には驚きの一枚だったりするのです。

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伝統的な日本、美しい日本、歴史的な日本。そんな文脈にのっとらなくてもよいでしょう。普段の憂鬱な出勤を美しく切り取ることができる奇跡の一枚があるなら、それだって「世界に伝えたい日本」になるかもしれません。

願わくば、これがただ一方的に日本の人が「日本を伝えたい」と思うだけの写真ではなくて、受け取った世界の人が、この世界には善いものがあるのだなと満足できる写真であれば嬉しいなと思います。難しいですねえ。でも、ちょっとフォトアルバムをみれば、実はそんな奇跡の一枚があったりするはずです。

応募は 2 月 14 日まで。私も数枚応募してみることにします。

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堀 正岳 (Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。

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