シリアの子供たちと食事をシェアできる、スマホ募金アプリShareTheMeal

2015 年 11 月 18 日

世界で起こる痛ましいテロリズムや戦争の背景には多くの場合貧困や、食料や水といった基本的なリソースにアクセスできない人々の存在があります。貧困問題を直接狙い撃ちにすることができるならば、それだけ世界は良い場所になり、しかも安全になり得るのです。

ShareTheMeal は、現在内戦によって隣国に逃れているシリアの子どもたちに対して給食を配給することを目的とした、スマホでできる寄付活動を広めるプラットフォームです。現在20000人の子供に1年間の給食を提供することを目標にして活動を広げているところです。

その取組も面白いのですが、アプリもとてもよい作りになっていますので紹介しましょう。

国連との連携と、ボタン一つで「食事をともにする」手軽さ

まず、こうした寄付においては実際にお金が現地にゆくのか、どのように使われるのかが一番気になると思います。ShareTheMealは国連World Food Programme (WFP)のイニシアチブとして立ち上がったプロジェクトで、寄付された金額の90%はWFPを通じて現地に送られる仕組みになっています。

ShareTheMeal 自体がWPFのイノベーション・グラントで作られた経緯がありますので、なにか独立した会社が口先だけで寄付をするよといってるのではなく、本家が運営に深く関わっている点が安心できます。

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では実際に ShareTheMealはどのような仕組みになっているのでしょうか。このアプリはゆくゆくはWFPによる飢餓を無くすための募金活動全般に対象を広げる予定ですが、現在はまずヨルダン北部の難民キャンプで暮らしているシリア難民の子どもたち約20000人に給食を提供することを目的としています。

60円ほどの寄付があれば、一人の子供に対して一日分の給食を提供することが可能であるとされています。そうした給食によって現地の子供たちは食べ物に困ることなく、少しでも勉学などにとりくめる環境を作ることが目標です。

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アプリを立ち上げると、1日分から1年分まで、さまざまな期間で食事を提供することができます。なんだかこうしてみると、本当に一緒に食事をシェアしているように思えてくるのでいいですね。漠然としたお金の単位ではなくて、何食をともにしたかという単位で表示されることでわかりやすくなっています。

期間を選択すると、クレジットカードによる支払いか、PayPalによる支払いの画面が表示されます。ひとまずは1週間分寄付してみることにしました。あまり単位が少なくても、クレジットカードの決済手数料がかかって効果が薄れてはいけません。ShareTheMealはこうした決済などについても趣旨に賛同する銀行などから大きな手数料の割引をうけているそうですが、回避できるものは回避するに如かずです。

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決済が完了すると、現地の子どもたちの一例が表示されました。いずれはもっと粒度の細かいオペレーションをおこなうことによって、寄付されたお金がどこにむかって誰が使っているのかを視覚化することも試みたいとのことですが、オペレーションコストを上げずにそれをおこなうことがチャレンジになっているそうです。

寄付をおこなうと、どのくらいの食事をシェアしたのかが実績ボードに表示されるだけでなく、Facebookを接続しておくと友人たちがあわせてどのくらい寄付しているのかがわかります。2年やってるひとがいる…!

もちろん、こうした寄付活動は最低限できることでしかありません。ほんとうは現地を訪問し、直接助けを及ぼせることがいいのでしょう。それでもスマホでアプリや買い物をすることが自然になった現在、寄付も指先ひとつで楽にできるようにするアプリの存在は価値があると思いました。

みなさんもぜひインストールして、よければ寄付してみてください。

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堀 正岳 (Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。

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