「#アホ男子母死亡かるた」に読みとる、経験を拡張するものとしての「あるあるネタ」

2014 年 07 月 10 日

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しばらく前の話になるのですが、お世話になっています福嶋祐子さん(@ykfksm)から「#アホ男子母死亡かるた」なる書籍をいただきました。貴重な御本ありがとうございます!

本書のタイトルは最初に「#」がついているのが特徴で、これはツイッターで話題になったハッシュタグがそのまま書名になっています。ハッシュタグが書名の一部にあるという本はいままでにもありましたが、ハッシュタグそのものが書名というのはまだめずらしいですね。

そしてハッシュタグがまたすごい。「アホ男子」「母」「死亡」「かるた」普通に考えるとどこで切ってどう解釈すればいいのかというわけです。つまりは全力で母を振り回す愛すべき「アホ男子」の行動をかるた形式でまとめたツイッター上のネタを書籍化したものというわけです。

添えられたコメントが、「どうぞ奥様へ」。

というのも、我が家は上は女の子なのですが、そろそろ2歳になる下の子は男の子。最近は毎日のように新しいスキルを身につけつつ、想定を越える行動で両親を翻弄してくれているからです。しかも家内は上も下も女の子の三姉妹という家庭構成だったので男の子の行状は身近にみた経験がありません。

というわけでちょうどよい機会でしたので家内に読んでもらいました。まさか実地の前に書籍で死亡することもありますまい。

愛すべき男子たち

英語だと “boys will be boys” という諦め半分につぶやかれる慣用句があって、洋の東西を問わず男子の行動は周囲をふりまわすようです(もっともこの言葉は最近は適当ではない事例で使われて批判も多いのですが…)。

本書で紹介されているのはそういった男子エピソードの数々。それぞれがイラスト付きだったり、簡単なかるた形式で紹介されています。といっても、元、アホ男子の自分としては思い当たる筋の話ばかり。

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一例。「やめなさい」は「やりなさい」に脳内変換。そりゃそうですよね。話題にした時点で気になってしまいますもの。いまだって脳内変換しています。

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バスに乗ったら「とまります」のボタンをおすことに全身全霊をかける。これも当然ですよね。いまだって全身全霊をかけています。他人に押された0.5秒後に押してしまうと燃えるような恥辱を感じます。いまでも。

それ以外にも、家庭内のいたずら、学校にまつわる話、登下校のいたずら、単純におかしな日常の行動などが一行ずつでまとめられています。

というわけで面白おかしく、でも最終的には子供への愛のあふれた眼差しが感じられる本に仕上がっています。あえて欠点を挙げるとするなら、値段に対して少しだけ薄いというところでしょうか。カラーページ多いから当然といえば当然ですが。

経験を拡張するものとしての「あるある」ネタ

そこで思ったのですが、最近では周囲に世代が違う幼い子どもや赤ん坊がいないまま大人になり、子育てに対するイメージがつかめないまま親になっているひとも多いのではないかという点です。自分がそうだったというだけかもしれませんが、その場合、そもそも赤ちゃんや小さい子供というのはどのように扱ってよいのか、どんなことが「普通」なのかは想像の範疇を超えています。

もちろんその想像を超えた部分が育児の楽しさでもあるのですが、以前なら大家族やコミュニティで得ていた「育児あるある」的な情報の流れが、こうした育児関連本や育児エッセイ本によって流通しているのだなという見方もできます。

それをいうなら、いま盛んに流通する「あるある」ネタのどれもが、以前は存在した何かの情報からの断絶とそれを復活させようとする動きなのかもしれないと思ったりしたわけです。

さて、本書を見せての家内の反応はといいますと…。「こんなことでは、私は死なない」と、見たこともないような決然とした表情で本書を机の上に置いてました。

いよいよ2歳になり英語で言うならばterrible twoの可愛い盛りに入る下の息子。あんまり困るいたずらはやめてくださいね。

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堀 正岳 (Masatake E. Hori)
2011年アルファブロガー・アワード受賞。ScanSnapアンバサダー。ブログLifehacking.jp管理人。著書に「ライフハック大全」「知的生活の設計」「リストの魔法」(KADOKAWA)など多数。理学博士。

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