1日、1週間、1ヶ月。長い航海のゆがむ時間。

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すでにいくつかのブログで書いているのですが、ただいま仕事で海洋地球研究船「みらい」に乗船し、北緯73度付近の北極海での観測に参加しています。

研究用のブログに、さまざまな話題は載せているのですが、もっと個人的な話題や、落穂ひろい的な話題はこちらのブログに書いておこうかと思います。

出港が8/28、そして航海が終わるのが10月になってからと、一ヶ月以上の乗船ですが、そもそもこれだけ長いこと船にのっていると、どういう感じがするものでなのでしょう。

航海と歪む時間

僕の好きな小説にトーマス・マンの「魔の山」があるのですが、この小説は主人公ハンス・カストルプが結核療養所のある山にいとこを見舞いにきて最初の一週間はこれでもかという濃密さで描かれてページ数も膨大です。

しかしその次の7週間を描くのには、同程度のページ数しか割いていません。さらに長い年月は、またページ数のうえでも飛ぶように流れていきます。これは作者が作中でも意識的にやっていることというのが明言されています。

船の上の時間はちょうど同じ感じがします。

最初の数日、時間は果てしなく長い気がしましたし、最初の一週間までは毎日が濃密でした。

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しかし一週間が過ぎたあたりから、時間は今度は意味を喪失してきます。毎日が同じようになり、今度は一日一日に違いを求めなくてはいけなくなります。

僕は趣味で航海記や探検記を読むのが好きですが、航海に乗り出して一週間あたりで猛烈な「飽き」がやってくることをさまざまな航海者が書いています。自分が体験したのもまさにそれですね。

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時折、日本の話題においつくためにメールや、ネットに接続することがあるのですが、あまりに話題のスピードが早く、午前中に話題になっていたことが午後には変わっていること。あるいは昨日までの話題が今日には別の話題になっていることが、不思議に思えてきます。

本当に自分はこんな加速した世界で暮らしていたのかと思い知ります。船上でもそれなりに仕事は多く忙しいのですが、それにしても陸上との時間は異なり、時間が歪む感覚です。

幸い、この航海ではふだん見ることがない北極ならではの出来事もあります。また、研究船という性質上、これまであまり話題になったことがない特徴もあるかと思いますので、この倦怠感も長続きはしません。

そうした、ここならではの話題について次の記事から書いていきましょう。