南大東島旅行 (4):南大東島気象台で高層気象観測を見学する

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二泊三日の南大東島旅行。一夜明けて、まずは南大東の地方気象台での高層気象観測の見学に行ってきました。

南大東島は、宮古島や石垣島とならんで地方気象台が存在する離島です。気象学・気候学を本業にしている僕にとってこの重要性はいくら強調しても足りません。

というのも、気象観測があるのは基本的に陸上で、地球上の7割を覆っている海のうえは非常に観測が少ないからです。海の真ん中に存在する離島での気象観測は、とても手間がかかる反面、その価値は飛躍的に高いのです。

サトウキビ畑のなかの観測ステーション

気象台というと、勝手に入ってはいけなさそうな気がするので、敷地外から観測を見ることが出来る場所の目星をつけていたのですが、ガイドの人に案内されてあっけなく敷地内へ。

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こちらが、高層気象観測用のコンテナです。左上につきでているのが受信アンテナ、もうひとつ小さい棒がGPSアンテナ。奥の方にがばっと傘を開いているのが自動放球装置。ここからヘリウムをつめた気球が自動的にとびだすわけです。

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近くの圃場には観測測器も。AMeDASステーションを実際に訪問するのが趣味なのですが、これで珍しい地点をコレクションに追加することができました。

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放球コンテナのとなりでは、いままさに工事が行われている最中でした。こちらはウィンドプロファイラーという、上空の風を詳細に観測することができる装置の更新のための工事だそうです。これも、台風などの通過時に、予報を向上させるとても貴重な情報です。

時間をまって8時半ちょうど、放球装置のもう一つの蓋がひらいて、ゾンデ気球が空に飛んでゆくのを見ることができました。よい放球でした!

なぜ気象観測は8:30なのか?

しかしなんで気象観測は朝の8:30と、夜の8:30なのでしょうか? 気象学者や、気象予報士の勉強をしているひとにはよく知られていますが、一般にはそれほど知られていないかもしれません。

実はこの 8:30 の観測は、世界標準時でいうと 23:30 にあたり、全世界で同じ時間に観測を行っているのです。日本ではたまたま 8:30 ですが、サンフランシスコでは夕方の15:30であったりと、現地時間はさまざまですが同時というわけです。

ではなぜ30分という中途半端な時間なのかというと、気球を空に放ち、ジェット気流のある高さまで上昇するまでのおおよその時間ということになっています。ですから、実際の表記ではこれは「8:30の観測」ではなく、「世界標準時0時」の観測ということになります。

世界中で同時に観測をおこない、それらのデータを集めることで、その瞬間の天気図を作成することができます。これが天気予報の元データとなります。この天気図が正確であればあるほど、天気予報は正確になりますので、多くの国が協力してデータをとっているのです。

また、ある時点での天気図が正確でも、そこにはある程度の誤差が入ることは避けられません。小さな誤差はたった24時間先を予測していても次第に増幅しますので、可能であれば一日に2回、4回と観測をおこない、なるべく直近のデータを使うのが理想です。

しかし予算や人的リソースの関係で、一日4回の観測ができる場所はそうありませんし、一日一回の観測を維持するだけでも大変という国がほとんどです。

私も北極で高層気象観測をしていましたが、珍しい場所であるほど、海の上であるほど、観測は貴重になります。

南大東地方気象台の観測は1日に2回、しかもデータがほとんどない太平洋上の島での観測ですので、その貴重さははかりしれません。実際、ここで毎日気象庁の職員が観測をしてくださっているおかげで、台風の進路からジェット気圧の蛇行、果てはアメリカ西海岸の気象、一回りして北半球全体の天気にいたるまで、精度が高くなっているといっていいのです。

離島、本当に大切!