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会津下郷、湯野上温泉の近くの国道を通っていると、注意していなければ見逃してしまうほどに唐突に「中山風穴地特殊植物群落」という柱が見えます。

ここを90度曲がって急な坂を登っていったところに会津下郷の隠れたスポット、中山風穴があります。

風穴とは洞窟の場合などは気圧や気温の内外差で風が生じる場所のことを指すのですが、中山風穴の場合、それは冷たい風です。実際、夏には場所によると氷が発生しているのが確認されるほど、冷たい風が吹き出ているのです。

暑ければ暑いほど冷たい風のでる不思議

先にタネを明かすと、私は大学時代にまさにこの中山風穴の実地調査をしていた教授の手伝いで何度もこの風穴に足を運んだことがあり、それで予備知識をもっていました。

「夏になると氷ができるほどの冷たい風がでる場所がある」というのは、気象学をやっていた研究者にとっては実に興味深い現象だったわけです。

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中山風穴は巨大な洞窟というわけではなく、斜面にところどころ開いている穴から冷たい風が噴き出しているというものです。山道を歩いていると、急にひやりとする場所があるので、そこで探してみると岩陰に冷風の吹き出す場所があるという具合です。

坂を上まで登ると駐車場もある公園がありますが、第一指定地といわれるこちらはちょっと風穴が探しにくいので、今回は坂の途中にある体験施設に入ってみます。

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斜面をえぐるように作られたこのあづまやに近づくと…。

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入り口から入った瞬間に急に寒くなります。空気は冷やされて白くなっていますし、岩の奥に据え付けられた温度計は4度を示しています。

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なぜこんな現象がおこるかというと、ここは急峻な地形である中山が遠い昔に山体崩壊をおこし、その細かい瓦礫によって形成された斜面だからです。

瓦礫のあいだにはいまも空隙があり、その空気は外気に対して常に遅れて反応するようになっています。夏のあいだは冷たい風が吹き出し、逆に冬には相対的に暖かい風が吹き出すので温風穴という暖かい風の吹き出しをともないます。

こうした特殊な土地のために、ここは昔から自然の冷蔵庫として利用されてきたのだといいます。また、この風穴のおかげで、この中山風穴の周辺には、周囲の地域には見られない高山植物などが群生しているのです。

国道沿いに下郷を旅している人は、ぜひこの風穴の目印を見逃さず、立ち寄ってみてください。たった5分の立ち寄りで感じることができる、自然の不思議な体験です。

それにしても、これだけ年月がすぎてまたここに来ることがあるとは、勉強してきたことや研究してきたことというのは、なかなか無駄にならないものですね(笑)。

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